皆さんよく聞く『五十肩』
今回は、肩関節周囲炎、通称五十肩について説明いたします。
肩関節周囲炎(五十肩)は、特定の原因がなく発症する肩の痛みや運動障害を指します。
通常、50歳代を中心とする40~60歳代に多くみられます。
主な症状
肩関節周囲炎(五十肩)は、肩関節に炎症が起こり、痛みや可動域の制限が生じる症状です。
この疾患は時期によって症状が異なります。
以下に、五十肩の症状の段階を詳しく説明します。
1.炎症期(えんしょうき)【急性期】
〇関節の動きが悪くなる
肩の可動域が制限され、日常生活の動作がスムーズに行えなくなることがあります。
〇動かすと痛くなる
特定の角度で肩を動かすと痛みを感じます。
〇夜中に肩が痛む
就寝時に炎症を起こしている方の肩が痛むことがあります。
〇腕を上げた時の肩の痛み
腕を上げる際に強く痛みを感じることがあります。
〇腕が上がらない
腕を90度以上あげられなくなり、日常的な動作が困難になることがあります。
〇安静時でも肩が痛む
動かしてるときだけでなく。安静時や睡眠時にも痛みを伴います。
〇炎症期の期間は個人差がありますが、通常は2~9か月程度続きます。
2.拘縮期(こうしゅうくき)
〇発症からしばらくたち、痛みはなくなってきますが、肩が固くなり動かすことができなくなります。
〇肩の可動域が制限され、日常生活の動作に不便を感じることがあります。
〇拘縮期の続く期間は通常4~12か月程度です。
3.回復期(かいふくき)
〇発症から4か月以上経過した中~後期の段階で、痛みや可動域の制限が改善せれていきます。
〇長ければ2年程度続く場合もあります。
〇回復期も拘縮期と同様に、安静にせず肩を積極的に動かして治療を進めることが大切です。
対処法
肩関節周囲炎(五十肩)の各時期ごとに適切な対処法を以下に示します。
1.炎症期(えんしょうき)【急性期】
痛みが強い時期です。以下の対処法を試してみてください。
〇運動を制限して、患部を安静に保つことが基本です。
〇三角巾やアームスリングで腕を支えることも有効です。
〇痛みを和らげるために、内服や湿布を貼ります。
2.拘縮期(こうしゅうくき)
〇痛みは軽減しますが、肩の可動域は狭い状態にありますので、疼痛の生じない範囲で肩関節運動を行います。
〇『コッドマン体操』と呼ばれる肩をブラブラさせる運動が有効です。
〇肩関節の筋肉を弛緩させ、可動域を改善します。
3.回復期(かいふくき)
〇関節の痛みが軽くなり、可動域が広がります。
〇ホットパックや入浴などで関節を温めながら、痛みを誘発しない程度の可動域訓練を続けます。
〇約1年程度で症状が改善することが一般的です。
肩関節周囲炎は、早期の適切な治療が重要です。
自然経過に頼らず、整形外科又は整骨院を受診して適切な対応をしましょう。
わからないことは、当院にご相談ください。